都会のはしっこ、2LDKで育ててます。

小学生と暮らすリアルを、少しだけ理論的に語ってみるブログ

見えない学力「非認知能力」は育てられる?家庭でできる科学的アプローチ

こんにちは。「都会のはしっこ、2LDKで育ててます。」の管理人です。

最近、「非認知能力」という言葉を目にする機会が増えました。

先日も、私のブログでこのテーマを取り上げました。

tokainohasi.com

でも正直に言うと、「非認知能力ってなに?」「どうやって育てるの?」という問いに、まだまだうまく答えられません。 私自身、なんとなく大事そうとは思っていたものの、ちゃんと理解できているとは言えず、説明しようとするといつも言葉に詰まってしまう。そんな“不十分な理解”のまま、なんとなく「良さそう」だけで終わっていたのが実情です。

だからこそ、今回は改めてしっかり調べてみました。

すると、非認知能力は単なる“教育トレンド”ではなく、子どもの人生全体に関わる大きな力であり、かつ、その「測り方」や「育て方」にも科学的根拠があることが分かってきました。

この記事では、非認知能力についての最新知見をもとに、家庭でできる実践的な関わり方まで掘り下げてみたいと思います。

テストの点では見えない「生きる力」とは

「最近、娘が友達とケンカして帰ってきた」

「公文のプリント、ちょっと難しくなるとすぐ諦める」

…そんな姿を見るたびに、成績や知識とは別の、もっと根っこの力が必要なんじゃないか、と思うことがあります。

それが、今話題の「非認知能力」と呼ばれる力です。

具体的には、

  • 自分を信じて挑戦し続ける「やり抜く力」
  • 相手の気持ちを思いやる「共感力」
  • 失敗しても立ち直れる「レジリエンス(心の回復力)」
  • 自分の気持ちを言葉にする「感情の言語化力」

など、IQやテストの点では測れないけれど、人生のいろんな場面で“効いてくる力”のこと。

つまり、「人として、しなやかに生きるための土台」とも言えそうです。

「非認知能力」の重要性を証明した科学

この非認知能力を一躍有名にしたのが、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の研究です。

彼が関わった「ペリー就学前プログラム」では、就学前の子どもたちに社会性や感情のコントロールを育む教育を行い、長期的に追跡調査したところ、

  • 学歴が高くなり
  • 収入も上がり
  • 犯罪率も下がる

といった人生全体に渡る好影響が確認されました。

つまり、幼児期に育てた非認知能力は、一生モノの資産になるということ。

しかも、今後AIがどんどん進化していく時代において、**機械には真似できない「人間らしさ」**がますます価値を持つようになる。 非認知能力は、まさにその中核を担うスキルなんです。

どうやって測る?「見えない学力」の可視化に挑む

とはいえ、「やり抜く力」や「自己肯定感」って、どうやって測るの? そもそも、数字にできるものなの?という疑問も湧きます。

実は、世界中で「見えない学力」を“見える化”しようという取り組みが進んでいます。

1. アンケートや観察によるアセスメント

アメリカでは、教育現場で幅広く活用されているのがDESSA(Devereux Student Strengths Assessment)という社会性スキルの評価ツールです。

「他人と協力できるか」「困難に立ち向かう姿勢があるか」など、日常の行動を先生が観察し、スコア化します。

日本でも、文部科学省が「自己肯定感」や「挑戦する力」を測る質問紙を開発中。 「私は自分のよいところを知っている」といった問いに、子ども自身や保護者が答える形式です。

2. デジタルデータ×AIで行動分析

atama+のようなAI教材では、正答率や解答スピードに加えて、「問題にどのくらい粘り強く取り組んだか」など、学習中の行動ログから非認知的な要素を推定し、先生にフィードバックする機能が開発されています。

また、プログラミング教育のライフイズテックでは、コードのエラーと格闘する様子や試行錯誤のログを記録し、生徒の創造性や課題解決力を評価する取り組みが進められています。

3. 成果ではなく「過程」を記録するポートフォリオ

SeeSawロイロノート・スクールといった教育アプリでは、作文やプレゼン動画、試行錯誤の記録を時系列で保存可能。

「作品の完成度」だけでなく、「そこに至るまでの工夫や成長」を可視化し、先生や保護者がコメントを添えることで、子どもの学びのプロセスに寄り添える仕組みになっています。

気をつけたいポイント

こうした可視化は便利な反面、「レッテル貼り」になったり、データで子どもをジャッジしてしまったりするリスクもあります。

あくまで目的は、子どもの成長を支えるため。 数値は参考に、目の前のわが子の変化にちゃんと目を向けたいですね。

非認知能力を「育てる」にはどうすればいい?

では、どうすれば非認知能力は育つのでしょう?

ここが、私にとって一番気になるポイントでした。

結論から言うと、「特別なことをしなくても、日々の関わりの中で育める」というのが、多くの研究者の共通した見解です。

家庭でできること

  • プロセスを褒める  →「100点すごいね」ではなく「難しくても最後までやったのがすごいね」と声かけ。

  • 選ばせてみる  → 洋服を選ぶ、遊び先を決めるなど、小さな自己決定の積み重ね。

  • 失敗を恐れない空気づくり  →「失敗=学び」「また挑戦してごらん」と言ってあげられるか。

  • 感情を言葉にして伝えるサポート  → 「悔しいんだね」「うれしいね」と親が代弁することで、子どもが感情を理解・整理しやすくなる。

  • 信じて見守る  → 親の期待は、子どもの自己肯定感に直結します。

学校や習い事での育み方

  • 探究学習やPBL  → チームでの問題解決に取り組むプロジェクト型学習は、自然と非認知能力が鍛えられます。

  • グループワークやディスカッション  → 自分の意見を伝える、他人の意見を受け止める経験が、共感力や協調性を育てます。

  • 習い事選びの視点を変える  → ピアノなら「継続力」、スポーツなら「目標達成力」など、習い事が育む非認知能力に注目してみる。

子どもの未来のために、今できることを

非認知能力は、「こうすれば一瞬で育つ」という万能薬ではありません。

でも、日々のやりとりや経験の中で、少しずつ確実に育っていくものです。

「点数が良ければOK」というシンプルな時代は終わり、 「どう生きるか、どう関わるか」が問われる時代になりました。

私自身も、「勉強ができるか」ばかりを気にするのではなく、 「娘がどんな大人になってくれるか」という視点で接していきたいと思います。

そして何より、子どもと一緒に、親である私たちも育っていく

そんな気持ちで、今日も少しずつ、わが家なりの子育てを続けています。

ではでは。