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【教育特集④】親の期待が子どもを伸ばす?ピグマリオン効果と教育経済学のリアル

こんにちは!「都会のはしっこ、2LDKで育ててます。」の管理人です。

これまでの記事では、
👉【①早期教育】 👉【②習いごと】 👉【③ご褒美の使い方】

を教育経済学の視点から考えてきました。

今回は、親なら誰もが持つ“願い”に関するテーマ――
期待って、ほんとうに子どもに届くの?」を、エビデンスから解き明かします。


ピグマリオン効果とは?

心理学でのピグマリオン効果Pygmalion Effect)は、「他者の期待が成績や行動に影響を与える」という現象。
特に、教師が「この子はできる」と思って接すると、生徒の学力が本当に伸びる、という研究が有名です。

教育経済学では、この“期待”が家庭内でも強く影響しているとされます。
つまり――
親が「きっと伸びる」と思っているかどうかで、子どもの教育成果が左右される、ということです。


教育経済学における「親の期待」の位置づけ

親の期待は、単なる精神論ではなく、行動に影響を与える「経済的な投資判断」と捉えられています。

たとえば以下のような研究があります:

研究内容 主な結果 出典
アメリカの大規模調査 親の進学期待が高い家庭ほど、子どもが大学進学する確率が高い Yamamoto & Holloway (2010)
親が子どもの将来に期待していると、学習時間や教育投資額が増える 結果的に学力テストのスコアも上昇傾向 Dizon-Ross (2019)
日本の調査でも、親の「中学受験を考えているかどうか」が子の学習態度に影響 成績にも差が見られる Benesse 教育研究開発センター

なぜ「期待」が効くのか?3つの教育経済的メカニズム

カニズム 説明 実生活での例
情報の非対称性 子どもは将来の利益を知らないが、親は知っているので期待によって行動を変えられる 親が「この勉強は将来役立つ」と信じて後押しすると、子どもも前向きになる
シグナリング効果 親の態度や言葉が「君はできる」という無意識のメッセージになる 「あなたならできるよ」と毎回言うことで、自己効力感が育つ
環境と習慣の変化 期待が高いほど、家庭内の学習時間や会話内容が変わる 教材選びや遊びの質にも反映される(公文、家庭学習タイムなど)

我が家のスタンス:期待は「行動」で伝える!

我が家では以下のように、子どもに“無言の期待”を届けています:

  • 公文を毎日継続:「あなたには続ける力がある」と信じてルーティン化
  • 宿題や努力を具体的にフィードバック:「これだけ集中して頑張れるのはすごい」
  • 週末は思い切り遊ぶ:頑張った分だけの余白時間があると“期待=プレッシャー”にならない
  • 進学や学びの話をポジティブに:「〇〇中学、面白い授業が多いんだって」など前向きな情報共有

ピグマリオン効果、逆に効いてしまう「負の効果」も?

注意点もあります。
教育経済学の観点からは、「期待しないこと」や「諦めムード」も、子どもの学力を下げるとされています。

Dufloらの研究では、教師が子どもに対して低い期待を抱くと、教育成果が落ちることが示されました。
これは親でも同じ。
無意識の「どうせ無理」や「この子は勉強向いてない」は、知らず知らずに子どもに伝わってしまいます。


おわりに:期待は“種”、行動が“水やり”

期待は、目に見えないけれど、確実に影響を与える力。
それは「できるかどうか」を信じることではなく、
「できるようになると信じて、一緒に行動する」ことなのかもしれません。

ピグマリオン効果は“魔法”ではなく、“習慣”の中でじわじわ効いてくる――
そんな感覚を持ちながら、今日も我が家の2LDKで、ゆっくり育てていこうと思います。

ではでは。


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