こんにちは。「都会のはしっこ、2LDKで育ててます。」の管理人です。
本日は、読売KODOMO新聞のワールドトピックス深掘りシリーズの第二弾です。
第一弾の記事はこちら。
【ワールドトピックス】マダガスカル ― お米文化と不思議なルール「ファディ」
少し遡りますが、2025年10月13日号の読売KODOMO新聞で「パプアニューギニア」が紹介されていました。
「オーストラリアの上にある島国」ということは知っていますが、私たちが知っているのは、そこまで。
オーストラリア大陸の北、赤道のすぐ南。
地図の上での場所はわかっても、そこでどんな人が、どんな暮らしをしているのか、まったくイメージが湧きません。
知らない国を「自分ごと」にする連載。
今回は、この「パプアニューギニア」という国の輪郭を、記憶のフックになりそうな特徴ではっきりさせてみたいと思います。
この記事の3行まとめ
- パプアニューギニアは、オーストラリアの北にある日本の約1.25倍の島国。
- 800以上の言語が今も残る理由は、険しい山や湿地という「地形」にあった。
- 国鳥「極楽鳥」の名の由来や、地面で蒸し焼きにする「ムームー」など、文化のフックが満載。
国の基本情報
まずは、基本データから。
パプアニューギニア独立国。
首都はポートモレスビーです。
- 位置: オーストラリアの北。ニューギニア島の東半分と、約600の島々から成り立っています(西半分はインドネシア領)。
- 大きさ: 約46万平方キロメートル(日本の約1.25倍)。
- 人口: 約1,058万人。日本の約1.25倍の土地に、東京都(約1,400万人)より少し少ないくらいの人が住んでいる計算です。
- 公用語: 英語、ピジン英語、モツ語。
- 国旗: 赤と黒の三角形で、南十字星と国鳥「極楽鳥」のシルエットが描かれています。
- 成り立ち: 1975年9月16日にオーストラリアから独立。国としての歴史は、思ったよりずっと新しいことに驚きます。
基本情報を見ただけでも、すでにフックが満載です。
国旗に描かれている「ゴクラクチョウ」とは何なのか。 そして、公用語が3つもある背景は何なのか。
記憶に残る“フック”になる特徴
なぜ「800の言語」が共存しているのか?
最初のフックは「言語」です。
このパプアニューギニア、なんと国内に800を超える言語があると言われています。
800です。80ではありません。
世界にはおよそ7,000の言語があると言われていますが、そのうちの約12%が、このパプアニューギニア一国に集中している計算になります。 (※言語の数え方には諸説あり、850以上という説もあります)
なぜ、こんなことが起きるのか。
その答えは、地図に隠されているそうです。 この国は、険しい山脈や深い谷、広大な湿地帯によって、国土が物理的に分断されています。

標高4,000メートル級の山々が連なる中央山脈は、まるで国の背骨。 人々は谷ごと、あるいは村ごとに小さなコミュニティを作り、孤立したまま暮らしてきました。
何百年ものあいだ、隣の谷との交流がほとんどなかった。 だから、それぞれの場所で独自の言葉が生まれ、淘汰されずにそのまま残った。 都市部で暮らす人より、郊外で暮らす人の数が6倍以上というのも、その文化的な背景を補強します。
ピジン英語は、英語をベースに現地の言葉やドイツ語などが混ざってできた言葉だそう。 例えば「ありがとう」は「Tenkyu」。 「どういたしまして」は「No wari」。
オーストラリア英語の「No worries」が変化したものでしょうか。 音の響きが、なんとなくおおらかな南国の空気を感じさせます。
800の「自分たちの言葉」と、人と繋がるための「共通語」。 この多層的な言語環境こそが、この国の最大のアイデンティティなのかもしれません。
足のない「極楽鳥」と名付けた人々
二つ目のフックは、国旗にも描かれていたあの鳥。 「極楽鳥」です。

正式にはフウチョウ(風鳥)科の鳥たちの総称で、パプアニューギニアにはその多くが生息しています。 雄は繁殖期になると、信じられないほど色鮮やかで精巧な飾り羽を広げ、独特の求愛ダンスを踊ることで知られています。
その姿は、確かにこの世のものとは思えない美しさ。 でも、なぜ「極楽(パラダイス)」なのでしょうか。
その由来を調べて、私は少し切ない気持ちになりました。
16世紀、大航海時代。
ヨーロッパの人々が初めてこの鳥の標本を手にしたとき、その標本には交易品として加工される過程で、足が切り落とされていたそうです。
足のない鳥の標本を見た当時のヨーロッパ人たちは、こう想像しました。
「この鳥は、地上に降り立つことがないのだろう」.
「きっと、一生を空で過ごし、風だけを食べて生きているに違いない」.
——まさに、極楽に住む鳥、「Bird of Paradise」だ、と。
もちろん、実際には彼らにも足があり、森の木々を飛び回って果実や虫を食べています。
しかし、当時の人々の驚きと誤解が、この「極楽鳥」というロマンチックな名前を生み出したのかもしれません。
パプアニューギニアの人々にとって、この鳥の羽は、古くから儀式や装飾に欠かせない神聖なもの。
ヨーロッパの人々にとっては、極楽や富の象徴。
ひとつの鳥に、さまざまな人の思いや歴史が交錯している。
国旗に描かれたシルエットが、ただの「きれいな鳥」以上の重みを持って見えてきました。
サツマイモの6割と、ごちそう「ムームー」
最後のフックは「食」です。
この国の人は、何を食べているのか。
特に、800の言葉が残るほどの山岳地帯「高地」の人々の暮らしが気になります。
標高1,200メートルを超える高地にも、多くの人々が暮らしています。
彼らの主食は、サツマイモです。 私たちにも馴染み深い作物ですが、、、
ある調査によれば、高地の人々は収穫したサツマイモのうち、約4割を人間が食べ、残りの約6割を家畜のブタのエサにするといいます。
高地の人々にとって、ブタは単なる家畜以上の存在なのかもしれません。
その大切なブタに、主食であるサツマイモの半分以上を与える。
このバランス感覚こそが、彼らの文化そのものです。
そして、その大切なブタやサツマイモを使った、最高のごちそうがあります。
それが「ムームー」と呼ばれる伝統的な蒸し焼き料理。
- まず、地面に大きな穴を掘ります。
- 焚き火で石をカンカンに熱します。
- 穴の底にその熱い石を敷き詰めます。
- その上に、バナナの葉で包んだサツマイモやタロイモ、野菜、そして(特別な日には)ブタ肉を置きます。
- さらに熱い石を乗せ、葉や土をかぶせて、数時間じっくりと蒸し焼きにします。
素材の水分と、石の熱だけで調理する、天然のスチームオーブン。
まとめ:この国から感じたこと
「パプアニューギニア」 調べる前は、ぼんやりとした「南の島」という記号でしかなかった国。
しかし、記憶に残りそうな特徴をフックに調査してみると、
「険しい地形で言葉が800個も残った国」
「足がないと誤解された極楽鳥が飛ぶ国」
「ブタのためにサツマイモの6割を使い、ムームーで祝う国」
として、少しだけ輪郭がはっきりしました。
800の言葉があるということは、800通りの「当たり前」が、今もすぐ隣の谷で息づいているということ。
私たちは「日本」という、比較的均質化された(ように見える)社会に住んでいます。
だからこそ、このパプアニューギニアの圧倒的な「多様性」と「分断」が、とても強く印象に残ります。
「みんな違って、それでいい」 言葉で言うのは簡単ですが、それを何百年も地形で実践してきたのがこの国なのかもしれません。
ではでは。

