こんにちは。「都会のはしっこ、2LDKで育ててます。」の管理人です。
本日は、読売KODOMO新聞のワールドトピックス深掘りシリーズの第6弾です。
前回はピラミッドだけでないエジプトの奥深さを覗いてみましたが、今回はそのお隣、中東エリアになります。
2025年11月20日号の読売KODOMO新聞で「イラン・イスラム共和国」が紹介されていました。
イラン。
私にとってこの国は、長らく「サッカーの強いライバル」というイメージそのものでした。
ワールドカップのアジア予選で、日本代表がアウェイの地で戦う、あの大観衆の熱気と手強い選手たち。
テレビの向こう側にある、スポーツニュースの中の国。正直に言えば、それ以外の知識はほとんど持ち合わせていませんでした。
正式名称が「イラン」ではなく「イラン・イスラム共和国」であることすら、今回の新聞記事で改めて認識したくらいです。
知らない国を「自分ごと」にする連載。
今回は、この「イラン・イスラム共和国」という国の輪郭を、単なるニュースの舞台としてではなく、人々の暮らしの知恵や独特な文化という観点から、記憶のフックになりそうな特徴ではっきりさせてみたいと思います。
この記事の3行まとめ
- 日本の約4.4倍の広さを持ち、カスピ海とペルシャ湾に挟まれた中東の国
- 現地は西暦ではなく「1404年」。天体の動きに基づく世界一正確なカレンダーを使用
- 40度を超える砂漠で電気を使わずに涼をとる「バードギール(風の塔)」の知恵
国の基本情報
まずは、基本データから。
首都はテヘランです。
- 位置: 中東地域に位置し、北はカスピ海、南はペルシャ湾とオマーン湾に面しています。トルコ、イラク、アフガニスタンなど多くの国と国境を接しています。
- 大きさ: 約164万8,000平方キロメートル(日本の約4.4倍)。かなり広大な国土です。
- 人口: 約8,920万人(2023年)。日本の人口(約1億2000万人)よりは少ないですが、首都テヘラン都市圏の人口密度は非常に高いことで知られています。
- 公用語: ペルシャ語。
- 国旗: 緑・白・赤の三色旗。中央には「アッラー(神)」という文字を図案化したマークが描かれています。
- 成り立ち: 1979年のイラン・イスラム革命により、王制から共和制へと移行しました。古代ペルシャ帝国の末裔であり、歴史の深さは世界有数です。
国土が日本の4倍以上あるため、四季の変化も場所によって様々です。
「中東=砂漠で暑い」というイメージが強いですが、実はスキー場があるほど雪が降る地域もあり、多様な気候を持っています。
では、サッカーのライバルという枠を超えて、この国を深く知るための3つのフックを見ていきましょう。
記憶に残る“フック”になる特徴
世界で最も正確な「太陽暦」と、春の正月
最初のフックは「今、現地は西暦ではない」という事実です。
私たちが普段使っているのは西暦(グレゴリオ暦)ですが、イランで公式に使われているのは「イラン暦(太陽暦)」と呼ばれる独自のものです。
そして驚くべきことに、このカレンダーでは、西暦2025年の現在、現地は「1404年」にあたります。
イスラム圏というと月の満ち欠けに基づく「太陰暦」を使うイメージがありますが、イランは太陽の動きに基づく「太陽暦」を採用しています。 しかもこのカレンダー、私たちが使うグレゴリオ暦よりも天文学的に正確だと言われています。
グレゴリオ暦(西暦)は4年に一度うるう年を設けるなどして調整しますが、それでも数千年に1日のズレが生じます。
一方、イラン暦は天体観測に基づいて春分の日を厳密に特定するため、グレゴリオ暦よりも誤差が小さいと言われています。
このカレンダーにおいて、1年の始まりは「春分の日」です。
これを「ノウルーズ(新しい日)」と呼び、イランの人々にとって最大のお祝いの日となります。
面白いのは、日付が変わる瞬間が「0時00分」とは限らないことです。
太陽が春分点を通過するその「瞬間」が年明けとなるため、年によってはお昼に年が明けたり、夕方に明けたりします。
家族みんなでその瞬間を待ちわびる。それがイランのお正月です。
古代から天文学が発達していたこの地域ならではの、宇宙のリズムに即した生き方が、カレンダーという日常の道具に色濃く残っています。
「今は何年?」と聞かれて、「1404年だよ」と答える世界線が、同じ地球上にあるのです。
砂漠の天然クーラー「バードギール」
2つ目のフックは「電気を使わない空調システム」です。
イランの中部や南部には、夏には気温が40度を超える過酷な乾燥地帯が広がっています。
現代ならエアコンをつければ済みますが、電気がなかった数百年、数千年前の人々はどうやってこの暑さを生き抜いてきたのでしょうか。
その答えの一つが、「バードギール(風の塔)」と呼ばれる建築構造です。
建物の屋根から煙突のように突き出した塔がバードギールです。
この塔は、上空を吹く風を取り込み、下の部屋へと送り込む役割を果たします。
取り込まれた風は、建物の下にある水盤や地下水路を通ることで気化熱により冷やされ、冷たい空気となって部屋を循環します。
そして暖かくなった空気は、塔の反対側から外へ逃げていく。
まさに、自然の力を利用した天然のエアコンです。
この仕組みのおかげで、外が灼熱でも、室内はひんやりと過ごしやすい温度に保たれます。
さらに、この技術を応用した「ヤフチャール」と呼ばれる氷の貯蔵庫さえ作られていました。
冬の間にできた氷や、山から運んできた雪を、夏まで溶かさずに保存し、真夏に氷入りの冷たい飲み物を楽しんでいたそうです。
現代の私たちが、夏の電気代やエネルギー問題に頭を悩ませているのに対し、彼らの先祖はずっと昔に、エネルギーを使わない持続可能な冷却システムを完成させていました。
イランの街並みにニョキニョキと生えている塔は、ただの飾りではなく、過酷な環境を生き抜くためのエンジニアリングの結晶なのです。
ピスタチオと「おもてなし」の作法
最後のフックは、食卓に欠かせない「ピスタチオ」です。
日本でピスタチオと言えば、お酒のおつまみや、最近ではスイーツのフレーバーとして人気ですが、イランは世界有数のピスタチオ生産国です。
世界の生産量の上位を常に米国と競っており、イランの人々にとって、これは生活の一部です。
イランのピスタチオは、私たちが普段スーパーで見かけるものよりも小ぶりですが、味が濃く、香り高いのが特徴だと言われています。
市場に行けば、山積みにされたピスタチオが量り売りされており、生のピスタチオが出回る時期もあります。
そして、このピスタチオは、イラン人の「おもてなし文化」に欠かせないアイテムです。
イランには、来客があれば必ずチャイと、ピスタチオやデーツ、お菓子を出して歓迎する習慣があります。
イランのお茶の飲み方も独特です。
角砂糖を一つ口に含み、その甘さでお茶(紅茶)を飲むというスタイルが一般的とのこと。
お茶そのものに砂糖を溶かすのではなく、口の中で溶かしながら飲む。
こうすることで、砂糖の消費量を調節しながら、渋みと甘みのバランスを自分でコントロールできるのだとか。
「道で会っただけの旅人を家に招いて食事を振る舞う」というエピソードを旅行記などでよく目にしますが、これは「客人は神からの贈り物」という考え方が根底にあるからだそうです。
乾燥した大地で育った栄養価の高いナツメヤシやピスタチオ。
それらを丁寧に客人に振る舞う姿勢からは、厳しい自然環境の中で互いに助け合い、人を大切にしてきた歴史が感じられます。
まとめ:この国から感じたこと
調べる前は、サッカー中継の画面越しに見る「強くて厳しいライバル国」という、どこか近寄りがたい記号でしかなかった国。
しかし、記憶に残りそうな特徴をフックに調査してみると、
「天体の動きを極めた、世界一正確なカレンダーで生きる人々」
「風と水を操り、砂漠で氷さえも作り出した古代の知恵」
「ピスタチオと紅茶で、旅人を温かく迎えるおもてなしの心」
として、少しだけ輪郭がはっきりしました。
特に印象に残ったのは、バードギール(風の塔)の仕組みです。
最新のテクノロジーで問題を解決しようとする現代の私たちですが、何百年も前に、風と物理法則だけで快適な空間を作り出していた彼らの知恵には、これからの時代を生きるためのヒントが隠されているような気がします。
子どもと一緒に、「もし電気がなくなったら、どうやって家を涼しくする?」と話し合ってみるのも面白いかもしれません。
イランの風の塔の話は、そんな会話の入り口にぴったりです。
ではでは。


