こんにちは。「都会のはしっこ、2LDKで育ててます。」の管理人です。
本日は、読売KODOMO新聞のワールドトピックス深掘りシリーズの第4弾です。
第1弾はマダガスカル、
第2弾はパプアニューギニア、
第3弾はカメルーン、
と来て、今回は少し前の、2025年10月9日号の読売KODOMO新聞で紹介されていた「インドネシア共和国」。
知っていることといえば、「バリ島」。あとは「ナシゴレン」や「ミーゴレン」の美味しいご飯。
首都はジャカルタ、だったはず。
あとは、とにかく「たくさんの島」が集まった国、というイメージ。
旅行番組で見るバリ島の美しいリゾートは知っていても、
その隣の島で、人々がどんな言葉を話し、何を考え、どんな日常を送っているのか。
地図の上での場所はわかっても、その暮らしの輪郭は驚くほどぼんやりしています。
知らない国を「自分ごと」にする連載。
今回は、この「インドネシア」という国の輪郭を、記憶のフックになりそうな特徴で、少しだけはっきりさせてみたいと思います。
この記事の3行まとめ
- インドネシアは日本の約5倍の広大な土地に、日本の2倍以上(約2.75億人)が暮らす島国。
- 800以上の言語と多様な民族が「多様性の中の統一」という標語のもとで共存している。
- 世界最大のイスラム教国という側面と、私たちの食卓と森をつなぐ「パーム油」の問題も抱えている。
国の基本情報
まずは、基本データから。
- 位置: 東南アジアの赤道直下。オーストラリアの北側に位置し、アジアとオセアニアをつなぐ場所にあります。
- 大きさ: 約190万平方キロメートル(日本の約5倍)。東西の幅はアメリカ合衆国とほぼ同じ、というから驚きます。
- 人口: 約2.75億人(2022年)。日本の約2.2倍。東京都(約1,400万人)が20個近く集まる計算です。
- 公用語: インドネシア語。
- 国旗: 「サン・サカ・メラ・プティと呼ばれています。赤は「勇気」、白は「真実」を表しているそう。日本と配色が同じで、なんだか親近感が湧きます。
ちなみに、モナコとインドネシアの国旗に違いについてはこちらの記事で調査しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
- 成り立ち: 1945年8月17日に独立を宣言。オランダとの独立戦争などを経て、1949年に正式に独立が承認されました。日本の敗戦(1945年8月15日)のわずか2日後の宣言。第二次世界大戦の終結と、非常に密接に関わっている国です。
基本情報を見ただけでも、すでにフックが満載です。
日本の5倍の広さに、2.7億人。
そして「公用語はインドネシア語」とありますが、前回調べたパプアニューギニアのように、あの「たくさんの島」には、もっと別の言葉があるのでは?
この「多様性」をどうやって一つにまとめているのか。
ここを最初のフックにして掘り下げてみます。
記憶に残る“フック”になる特徴
800の言葉と「多様性の中の統一」
最初のフックは「言語と多様性」です。
基本情報では「公用語はインドネシア語」と書かれています。 しかし、1万7,000以上とも言われる島々に、300以上の異なる民族が暮らすこの国で、本当に言葉は一つなのでしょうか。
答えは「ノー」です。
インドネシアには、公用語のほかに、800以上もの「地方言語」が存在すると言われています。 これは「方言」ではありません。互いには通じ合えない、独立した「言語」です。 前回調べたパプアニューギニア(約800言語)に匹敵する多様さです。
では、ジャワ島の人とスマトラ島の人は、どうやって会話するのか。
そこで登場するのが、公用語「インドネシア語」です。
このインドネシア語、実はもともとマレー語の一方言でした。
独立の際、特定の民族(例えば多数派のジャワ人)の言葉を公用語にすると、他の民族が不満を持つかもしれない。
そこで、比較的ニュートラルで、交易語として使われていたこの言葉を「国民の共通語」として採用し、学校教育などを通じて全国に普及させたのです。
そのため、多くのインドネシア人は、家庭や地元で話す「地方言語(母語)」と、学校や仕事で使う「インドネシア語」を使い分けるバイリンガル、トリリンガルです。
この国の標語は、「ビネカ・トゥンガル・イカ。
古いジャワ語で「多様性の中の統一」を意味します。
これは「みんな同じになろう」というスローガンではありません。
「私たちは、そもそも言葉も文化も違う。違うのが当たり前。その違いを前提として、一つの国としてまとまろう」という、強い意志表示です。
食卓から考える、オランウータンの森
2つ目のフックは「自然と、私たちの暮らし」です。
インドネシアといえば、ボルネオ島やスマトラ島に残る熱帯雨林。
そこには「森の人」という意味の名前を持つ、オランウータンが生息しています。
その姿は、子ども向けの図鑑でもおなじみです。
しかし、彼らが今、絶滅の危機に瀕していることも、よく知られています。
原因は、彼らの住処である森が、急速に失われていること。
では、なぜ森が消えているのか。
その最大の理由の一つが、「パーム油」を採るためのアブラヤシ農園(プランテーション)に作り替えられているからです。
インドネシアは、世界最大のパーム油生産国です。
「パーム油」。
そう言われても、私たちは直接それを買って料理に使うわけではないので、ピンと来ません。
でも、試しに、家にある食品の裏側を見てみてください。
子どもが好きなポテトチップス。チョコレート。朝食のシリアル。
「原材料名」の欄には、「植物油脂」という文字。
私が使う洗剤やシャンプーには「界面活性剤」。
実は、この「植物油脂」や「ショートニング」「マーガリン」、そして「界面活性剤」の多くに、パーム油が使われています。
安価で、使い勝手が良く、常温で固まる性質。私たちの便利で安価な暮らしは、このパーム油なしには成り立ちにくいのです。
バリ島の美しい海に思いを馳せながら、私たちが無意識にスーパーで手に取ったお菓子が、インドネシアの森の減少と、オランウータンの危機に繋がっているかもしれない。
これは「パーム油を使うな」という単純な話ではありません。
現地には、農園で生計を立てている人々も大勢います。
ただ、知らなければ、考えることもできません。
最近では、環境や人権に配慮して生産されたパーム油の「RSPO認証」というマークもあります。
スーパーでこのマークを探してみる。
「このお菓子、インドネシアの森と繋がってるかもね」と子どもと話してみる。
遠い国の「環境問題」が、食卓の「自分ごと」になる。
これもまた、世界を知る一つのフックだと思います。
世界最大のイスラム教国と、バリ島の「祈り」
最後のフックは「宗教と暮らし」です。
基本情報でさらりと流しましたが、インドネシアは国民の約87%がイスラム教徒です。
これは、世界で最も多くのイスラム教徒(ムスリム)が暮らす国だということを意味します。
イスラム教というと、中東の国々を連想しがちです。
でも、緑豊かな東南アジアの島国が、世界最大。このギャップがまず面白い。
イスラム教徒の暮らしは、祈りと共にあります。1日5回のお祈り。そして、約1ヶ月間の「ラマダン(断食月)」。
一方、私たちがリゾート地として知るバリ島は、住民の多くが「バリ・ヒンドゥー」という独自のヒンドゥー教を信仰しています。
イスラム教が大多数を占める国の中で、なぜバリ島だけが違うのか。
これには歴史的な背景があります。
16世紀頃、ジャワ島でイスラム教が広まっていった際、それまで栄えていたヒンドゥー教徒たちが、海を渡ってバリ島へ逃れたとされています。
彼らが持ち込んだ文化が、バリ島土着の信仰と融合し、今の「バリ・ヒンドゥー」という独特の文化を花開かせたのです。
だから、バリ島だけは空気感が違います。
「チャナン」と呼ばれる、ヤシの葉で作った小さなお皿に花や食べ物を乗せたお供え物が、道のいたるところに置かれ、人々が祈りを捧げている。
フック1の「多様性の中の統一」は、ここにも表れています。
インドネシアの憲法は信教の自由を保障しており、イスラム教だけでなく、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教、儒教も公的に認められています。
「世界最大のイスラム教国」という一面的な見方だけでは、この国は捉えきれない。
「バリ・ヒンドゥー」の日常的な祈りの風景もまた、インドネシア。
この重層的な感じが、この国の輪郭をぐっと濃くしてくれます。
まとめ:この国から感じたこと
「インドネシア」. 調べる前は、「バリ島」「ナシゴレン」という、ぼんやりとした記号でしかなかった国。
しかし、記憶に残りそうな特徴をフックに調査してみると、
「800の言語が響き合い、『違うのが当たり前』を前提に一つになろうとする国」
「私たちの食卓と、オランウータンの森が『パーム油』で繋がっている国」
「世界最大のイスラム教国でありながら、ヒンドゥー教の祈りが日常に溶け込む島も抱える国」
として、少しだけ輪郭がはっきりしました。
「多様性の中の統一」。
言葉にするのは簡単ですが、1万7,000の島で、800の言葉を話し、異なる宗教を信じる人々が、一つの国でいることは、簡単なことではないはずです。
それでも、それを国の標語として掲げ、努力を続けている。
ふと、私たちの暮らしを振り返ってみる。
SNSを開けば、自分とは「違う意見」が溢れています。
違うことを前提に、どうやって繋がるか。
インドネシアの姿は、遠い国のお手本というより、私たちの「いま」を考えるための大きなヒントになるかもしれません。
まずは今晩、子どもと一緒に、家にある「植物油脂」の表示を探してみようかと思います。
ではでは。
