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国際バカロレア(IB)のメリットとは?国内大学受験を圧倒的に有利にする5つの理由

こんにちは。「都会のはしっこ、2LDKで育ててます。」の管理人です。

さて、前回の記事で都内の中高一貫校について比較してみたんですが、↓

【私立・都立・国立】東京の中高一貫校カリキュラムざっくり比較|探究・IB・留学の違いとは?

あの時、チラッと出てきた「国際バカロレア(IB)」というキーワード。

正直なところ、書いている私自身が「国際…バカロレア…? なんだか凄そうだけど、一体なんなんだ?」と、さっぱり分かっていませんでした。

でも、一度気になると調べずにはいられないのが私の性分でして。

「知らないなら、知ればいいじゃない!」

ということで、今回はこの「国際バカロレア(IB)」について、理系パパ目線でとことん掘り下げてみました。

調べてみたら、これがまあ、奥が深い。

単に「海外大学に進学するためのエリート教育」なんていう単純な話ではなく、日本の大学進学にもかなり大きなメリットがあることが分かってきました。

「うちには関係ないかな…」と思っている都内在住のパパさんママさん、ちょっと待ってください。これは知っておいて損はない情報だと思います。

少し長くなりますが、都内での選択肢や具体的なメリットについて、分かりやすくまとめてみたので、ぜひお付き合いください。

国際バカロレア(IB)って、そもそも何?

まず大前提として、国際バカロレア(IB)は、スイスのジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムのことです。

特定の国の教育システムに縛られず、世界共通の基準で「探究する力」「考える力」を育てることを目的としています。

年齢に応じて、大きく3つのプログラムに分かれているのが特徴です。

  • PYP (プライマリー・イヤーズ・プログラム):3〜12歳対象
  • MYP (ミドル・イヤーズ・プログラム):11〜16歳対象
  • DP (ディプロマ・プログラム):16〜19歳対象

このPYP→MYP→DPという流れが、日本の小学校→中学校→高校の学習期間とほぼ対応しているんですね。

では、それぞれの年代で、東京都に住む私たち親子にとってどんな選択肢があるのか、具体的に見ていきましょう。

【小学生】PYP:探究の基礎を育む

都内にはPYP認定校が30校以上もあるそうです。意外と多いですよね。

大きく分けると、

  1. インターナショナルスクール型 (例:アオバ・ジャパンIS、東京インターナショナルスクールなど)
  2. 一条校併設型 (例:東京学芸大学附属大泉小学校など)

の2種類。「一条校」というのは、日本の学校教育法で定められた、いわゆる「ふつうの学校」のことです。

インター型は英語での授業が中心で、学費も高めな傾向。一方で、一条校併設型なら、日本の学習指導要領の内容をIBの探究的なアプローチで学びつつ、学費も都の私学助成対象になるため、インターに比べて抑えられるケースが多いようです。

入試では、英語力そのものよりも「なぜ?」「どうして?」と考えられる探究的な姿勢を重視する面接の比率が高いとのこと。これは面白い視点ですね。

【中学生】MYP:専門分野への橋渡し

中学生向けのMYP。都内での選択肢も少しずつ増えています。

公立の代表格が、練馬区にある東京学芸大学附属国際中等教育学校 (TGUISS)。ここは国立で初めてMYPと後述するDPを一貫で提供している学校です。

私立では、開智日本橋学園清泉インターナショナルスクールなどが有名です。

MYPの成績は、直接的に都立高校の受験で内申点として換算されるわけではないようです。ただ、IB式の探究学習に慣れ親しんでいるという証明になるので、高校からIBコース(DP)を目指す場合や、海外の学校へ編入する際には、強力な武器になりそうですね。

【高校生】DP:大学進学へのパスポート

そして、大学入試に直結するのが、この高校生向けDPです。

公立の星は、なんといっても東京都立国際高等学校のIBコース。2015年には認定を受け、都立高校の標準的な授業料で、本格的なIB教育が受けられるというのは本当に魅力的です。

私立では、江東区K. インターナショナルスクール東京(KIST)が圧倒的な実績を誇っています。2024年のIBスコアの平均点が41.5点(満点は45点)だというから驚きです。世界平均が30点ちょっとですから、そのレベルの高さが伺えます。

このDPの授業時間は、日本の高校の卒業単位として全て認定されることが文部科学省から認められています。つまり、IBの勉強をしながら、同時に日本の高校卒業資格も得られる、ということです。

都内にはどんなIB認定校があるの?

ここまでプログラム別に見てきましたが、改めて都内の代表的なIB認定校をいくつかご紹介します。(2025年7月時点の情報です)

  • アオバジャパン・インターナショナルスクール(練馬/目黒ほか):幼少期から英語イマージョンで学べるインター。PYP・MYP・DP全てを提供。
  • 東京学芸大学附属国際中等教育学校 (TGUISS)練馬区):国立で唯一のMYP・DP一貫校。理数探究にも力を入れているようです。
  • 東京都立国際高等学校(目黒区):都立で唯一DPが学べる学校。海外大学への進学率も60%と高いですが、後述する国内大学への道も拓けます。
  • K. インターナショナルスクール東京江東区):世界トップクラスのIBスコアを叩き出す名門。進学先も海外トップ大学や東大など錚々たる顔ぶれ。
  • 開智日本橋学園中学・高等学校中央区):近年MYP認定を受け、DPも提供。探究学習に力を入れている注目の学校です。

これらはほんの一例で、2025年3月時点で都内にはIB認定校が45校、候補校も含めると60校を超えるとのこと。選択肢は着実に増えていますね。

最重要!日本の大学進学でIBがもたらす5つのメリット

さて、ここからが本題です。

「IBって、結局海外の大学に行くためのものでしょ?」

私も最初はそう思っていました。でも、調べてみたら全く違ったんです。むしろ、日本の大学に進学する上で、かなり有利な選択肢になり得ることが分かりました。

具体的は5つの大きなメリットがあります。

メリット①:「IB枠」入試で競争率が低い

なんと、2024年時点で200以上の大学が、IBスコアを使った特別な入試制度を設けています。いわゆる「IB入試」や「IB枠」と呼ばれるものです。

例えば、東京大学のPEAK上智大学のIB入試など、名だたる難関大学がこの方式を導入しています。

一般入試とは別の土俵で受験できるため、競争率が比較的低いケースが多く、これは大きなアドバンテージと言えそうです。

メリット②:共通テストやEJUが免除されることも

これも驚きでした。大学によっては、一定以上のIBスコアを持っていると、あの大学入学共通テストや日本留学試験(EJU)が免除されることがあるんです。

例えば、大阪大学東京外国語大学などでは、書類選考と面接だけで合否が決まるケースも。一般入試組が必死に共通テスト対策をしている間に、別の準備に集中できるのは計り知れないメリットです。

メリット③:大学の単位を先取りできる

IBのDPでは、専門分野を深く学ぶ「HL(ハイヤーレベル)」という科目があります。このHLで優秀な成績(7段階中の6や7)を修めると、大学入学後にその科目の単位として認定してくれる大学があるんです。

国際基督教大学ICU立命館アジア太平洋大学(APU)など、30以上の大学がこの制度を導入しており、最大で20単位も認められるとか。大学1年生から、より専門的で発展的な学びに時間を使えるようになりますね。

メリット④:奨学金や授業料減免のチャンスが広がる

優秀なIB生を確保するために、独自の奨学金を用意している大学も増えています。

有名なのが、早稲田大学の「柳井IB奨学金。これは授業料全額に加え、生活費まで支給されるという破格の制度です。

また、私立大学でも「IBスコア40点以上なら授業料半額」といった制度が拡大しているようです。学費の負担を少しでも減らしたい家庭にとっては、非常にありがたい話です。

メリット⑤:海外大学との併願がしやすい

IBの成績は世界共通なので、もちろん海外大学への出願もスムーズです。

高校3年生の秋頃に出してもらえる「Predicted Score(成績予測)」を使えば、イギリスなどの大学に出願しつつ、国内のIB入試や総合型選抜(旧AO入試)も併願する、という戦略が立てられます。

「国内も海外も」という両睨みの進路設計ができるのは、IBならではの強みですね。

まとめ:東京都でIBを選ぶという戦略

今回、国際バカロレア(IB)について調べてみて、私の中のイメージは180度変わりました。

まとめると、東京都でIBを選ぶことには、こんな価値があると言えそうです。

  1. 都内で一貫教育が可能:PYPからDPまで、23区内だけで学び続けられる環境が整いつつある。
  2. 公立という選択肢:都立国際高校や学芸大附属国際中等教育学校なら、学費を抑えながら本格的なIB教育が受けられる。
  3. 大学進学の選択肢が爆発的に増える:国内難関大学への「別ルート」を確保しつつ、海外トップ大学も同時に目指せる。
  4. 行政のサポートが手厚い:東京都は補助金や教員研修などでIBを推進しており、今後もこの流れは加速しそう。

もちろん、高い英語力が求められたり、IBを指導できる先生の確保が課題だったりと、簡単な道のりではないでしょう。

でも、変化の激しいこれからの社会を生き抜くために必要な「自分で問いを立て、探究し、表現する力」を育む上で、非常に魅力的な教育プログラムであることは間違いなさそうです。

正直、まだ「TOK(知の理論)」とか「EE(課題論文)」とか、よく分からない専門用語もたくさん出てきました…。このあたりは、子どもの成長に合わせて、また時期が来たら深掘りしてみたいと思います。

まずは「IBという、もう一つの道があるんだ」ということを知れただけでも、大きな収穫でした。

同じように、お子さんの教育の選択肢について考えているパパさんママさんにとって、何か一つでも参考になる情報があれば嬉しいです。

ではでは。